『文房具を楽しく使う[筆記具編]』

和田哲哉

(2005年11月15日刊行,早川書房ISBN:415208622X



筆記具へのこのこだわりようはただごとではなく,著者はただものではない.「0.7mmシャープペンシル」への支持は納得できる.中学の頃から速記用の「0.9mm」芯を愛用していたし,その後も「0.7mm」よりも細い芯は日常的には使わなかった.今では,さらに太い「1.3mm」芯(Pentel のマークシート用シャープ)とか「1.4mm」芯(Faber Castell の木軸シャープ)に移行している.デッサン用の「6mm」芯のシャープもある.〈Rotring Art Pen〉,使ってますよー.写譜用のカリグラフィー・ペンである,シャチハタの〈Artline Calligraphy Pen 2.0〉は顔料インクのファイバーチップでとても書きやすいと思う.サイン用にはこれね.油性インク,水性インク,ゲル・インクなどのちがいと長短について,本書から学んだことは数多い.紙との相性や用途による使い分けが必要だというのはもっともな指摘だが,そこまで気を使っていないのがふつうだろう.というか,そこまで深入りすると,どんどん「文房具の深み」にはまりそうでこわいし…….さらっと読むだけでなく「復習」する価値がある本だ.