鷲津浩子
(2005年4月1日刊行,南雲堂,東京,328 pp.,本体価格3,800円,ISBN:4523292973 → 書評)
リアル書店で“実物”を手に取らなかったら,きっと一生読まないままだったろうねえ.本の「書名」はもちろん自由につけていいんだけど,〈時の娘たち〉というタイトルだけを見て,その本がアメリカの博物学史に関わる本であることを連想せよというのはぜーったい無理でしょう(せめてサブタイトルが付いてればよかったのに).本書は18〜19世紀のアメリカ(独立戦争から南北戦争の時代)の“文学”における「アート」と「ネイチャー」との関わり合いを論じた本です.まだ半分ほどしか読んでいないけど,けっこうおもしろいかもしれない.
【目次】
序論 「アメリカ」文学という謎 7
第1部 アート 27
第1章 アメリカン・テクノロジーへの道 29
第2章 からくり三態 53
1. 二つの時計:ハーマン・メルヴィル「鐘楼」 58
2. 機会じかけの蝶々:ナサニエル・ホーソン「美のアーティスト」 78
3. 秘密箱・不思議箱:エドガー・アラン・ポウ「メルツェルのチェス・プレイヤー」 90
第3章 移動する基軸 112
1. 海の空間・陸の空間:ハーマン・メルヴィル『ピエール』とクロノメター 115
2. エドガー・アラン・ポウと気球 134第2部 ネイチャー 163
第1章 「自然」という名のヒストリー:アメリカ自然誌の系譜 165
第2章 それぞれの自然誌 191
1. 囲われた自然:ナサニエル・ホーソン「ラパチーニの娘」 194
2. 「進化」する自然誌:初期エマソンをめぐって 213
第3章 暗合/号する宇宙:エドガー・アラン・ポウ「ユリイカ」 231初出一覧 265
註 267
あとがき 279
図版出典 [292-285]
参考文献 [321-293]
索引 [328-322]