『詩人たち ユリイカ抄』

伊達得夫

(2005年11月10日刊行, 平凡社平凡社ライブラリー558],東京, ISBN:4582765580版元ページ



ささっと読了.前に,田中栞さんのパンフレット『書肆ユリイカの本』(2004年11月15日刊行,紅梅堂,ISBNなし)を視て以来,敗戦後に立ち上がった詩書を専門に出版した〈書肆ユリイカ〉が気になっていたのだが,ほかならない社主の本が復刻された.口絵の蔵書コレクションの多くは田中栞さんのものとのこと.大戦前後の時期に活動した詩人たちの想い出とか,書肆ユリイカの創立のこととか.巻末には60ページにおよぶ「書肆ユリイカ出版総目録」が付けられている.

その伊達得夫も40歳の若さで肝硬変のため亡くなったという.遺稿集にあたる本書は,もともと限定200部の自家出版として,関係者にのみ配布されたそうだ.ごくパーソナルな記述が多いのは,パブリックにされるのを念頭に置かなかったためだろう.逆に,それだからこそ,書けなかったことまで書けたのかもしれない.パーソナルに徹することは,意外なことに,パブリックな意味を持ち得るのだろうと思う.