『赤坂檜町テキサスハウス』

永六輔大竹省二

(2006年3月30日刊行,朝日新聞社ISBN:4022500832



大竹省二撮影の写真をじっくり読む本.敗戦直後から1960年前後までの“テキサスハウス”に終結した人びとの懐古譚.著者たちの世代は“老人顔”しか今まで知らなかったのだが,大竹省二のモノクロ写真で若かりし頃の点景を見るのは意外で愉しい.芥川也寸志や團伊久磨の青年時代のポートレイトや,後の小沢征爾夫人に相対する坂本九春風亭小朝が突然顔を出し,谷川俊太郎作詞&武満徹作曲という黄金ペアがすでに形をなしている.戦後の放送や芸能に関わった業界人がつどった赤坂の“テキサスハウス”には,ときを同じくして漫画家の梁山泊となった池袋の“トキワ荘”とはまた異なるオーラがあったそうだ.関係者がまだ生きているから言えないことも多々あるようだが,そうこうするうちに,みんないなくなってしまうんじゃないかと心配しつつ.