Peter Hill & Nigel Simeone
（2005年10月刊行，Yale University Press，ISBN:0300109075）
フランス現代音楽の筆頭であるメシアンの伝記はすでにたくさん書かれている．しかし，彼が「何を創ったか」については詳細に論じられていても，「なぜそれを創ったのか」については未解明部分が少なくないと著者たちは言う．私生活や作曲過程に関するメシアン自身の“秘密主義”がその理由のひとつだった．今回の伝記では，これまで未公表だった日記や書簡などの内部資料を踏まえてそのハードルを越えようという意図がある．掲載写真の多くは初めてのものだという．生い立ちから二十歳までの彼の経歴を見ると，“栴檀は双葉より芳し”ということわざがテロップのように脳裏をよぎる．フリニー（Fuligny）に生まれ，家族とともにグルノーブル，ナント，そしてパリへと移り住んだメシアンは，パリのコンセルヴァトワールで頭角を現わすことになる．
【目次】
Acknowledgements vi
List of Illustrations viii
Introduction 1
Childhood and the Conservatoire: 1908-1929 7
The Trinité and marriage: 1930-1934 25
La Jeune France: 1935-1939 52
Messiaen’s war: 1940-1944 91
‘La Cas Messiaen’ and the Tristan trilogy: 1945-1948 142
Experiment and renewal: 1949-1952 176
Birdsong into music: 1952-1959 203
Public controversy, private happiness: 1959-1963 231
An establishment figure? 1964-1969 257
Splendours of nature: 1970-1974 284
‘Messiaen, faites-moi u opéra’: 1975-1978 304
‘Brother Messiaen at the Opéra’: 1979-1983 323
Inspiration regained: 1984-1987 342
Illuminations of the Beyond: 1988-1992 362
Notes 384
Bibliography 402
Index 419
