『邪魅の雫』

京極夏彦

(2006年9月26日刊行,講談社講談社ノベルス・キF-13],東京, 818 pp., 本体価格1,600円, ISBN:4-06-182438-4版元ページ



読了.これまでの「京極本」を通読していれば,“京極堂”がやっと表舞台に登場するのが全817ページ中の「679ページ目」であったとしても,また,榎木津礼二郎が手を差し伸べるのが「最後から2ページ目」だったとしても,じっと待ち続けられるにちがいない.余韻の残る,いいエンディングだと思う.関東軍防疫給水部についての周縁的知識が湧き上がってくるのもまた一興.知っている人はさらに楽しめるだろう.