『神社の系譜:なぜそこにあるのか』

宮元健次

(2006年4月20日刊行,光文社[光文社新書251], ISBN:4334033512



この本は「神社の系譜」について書かれた本ではない気がする.むしろ,キーワードである「自然暦」,すなわち:




このような夏至冬至春分秋分に特定の場所から日の出没が起きるしくみを「自然暦」といい,世界中で多くの事例が報告されている.(p. 31)



という地理的なパターンに,現存する「神社の配置」を当てはめて論じるという内容だ.かなりムリをして言えば,汎生物地理学的なパターン配置の発見とか分断生物地理学でいう代置パターンの発見みたいなものを目指しているのだろう.サブタイトルにある「なぜそこにあるのか」という設問に対しては,「自然暦がそう言っているから」という答えを著者は用意している.さて,その反証可能性は?




【目次】
まえがき 3
第1章 怨霊の神々 9
第2章 王権の神々 47
第3章 大和朝廷東西線 91
第4章 氏族の守護神 155
第5章 人を神として祀った社 189
あとがき 224