『星新一:一〇〇一話をつくった人』

最相葉月

(2007年3月30日刊行, 新潮社, ISBN:9784104598021



実は,星新一の短編はいまだかつてひとつも読んだことがない.しかし,ぼくにとっては生前の星新一が何を書いたかはとくに関心がない.むしろ,彼をプライベートに取り巻いた人間関係の方がおもしろい.星製薬の創業者にして星薬科大学をも創設した実業界の大立者の父・星一森鴎外家と縁戚関係があり後藤新平とも昵懇だったという星家の人脈が子どもに影響したか.そのあたりのことが読みたい.

第1章まで読了.60ページほど.よく調べ挙げたものだと思う.作家・星新一は「ショートショート」の短編作家として知られているが,その分量は400字詰にして「20枚前後」だったそうだ.

第2章と第3章.80ページ.中学から大学までのことなど.星新一は東大農学部農芸化学科では坂口謹一郎に師事した.敗戦前後の混乱の後,星製薬がしだいに衰退していく経緯も.