『Untersuchungen zur Morphologie und Systematik der Vögel, zugleich ein Beitrag zur Anatomie der Stütz- und Bewegungsorgane. I. Specieller Theil: Brust, Schulter und proximale Flügelregion der Vögel』

Max Fürbringer

1888年刊行,Verlag von T. J. Van Holkema,Amsterdam / Verlag von Gustav Fischer, Jena,L + S. 1-834 → 紹介上巻目次

著者 Max Fürbringer の経歴と業績に関しては独語版ウィキペディアに詳しい.また,ハイデルベルク大学の紹介記事(「Max Karl Fürbringer (1846 - 1920)」)からはオンライン公開された Fürbringer の著作へのリンクが張られている.図版がとてもきれいなのはもともと画才があったからか.それとも Ernst Haeckel - Carl Gegenbaur の伝統か.また,それとは別に,Max Fürbringer - Erwin Stresemann - Ernst Mayr というドイツ鳥類学の学的伝統もほの見える.

この上巻(『各論』)は鳥類の骨格・神経・筋肉系の詳細な記載.巻末にある40枚に及ぶ表(Tabellen)は各部分の計測データの一覧で,こういう時代の解剖学書にしてはめずらしいと感じた.後の「相対成長」理論の先駆けなのだろう.なお,上巻表紙に記されている格言「Mach es wenigen recht, vielen gefallen ist schlimm」はシラーからの引用で,著者のモットーだったという.シラーの元の言葉は:「Kannst Du nicht allen gefallen durch Deine That und dein Kunstwerk - mach es wenigen recht. Vielen gefallen ist schlimm」(「お前の行為や芸術作品を誰もが好むことがありえようか.かぎられた人にわかってもらえればいいだろう,大勢に気に入られているようではだめだ」).この格言はウィーンで活躍した画家ギュスターヴ・クリムトがその作品〈Nuda Veritas〉(1899)で引用したことで有名になった.