『Phylogenetics: Theory and Practice of Phylogenetic Systematics, Second Edition』

Edward O. Wiley and Bruce. S. Lieberman

(2011年6月刊行,John Wiley and Sons, Chichester, ISBN:9780470905968版元ページ

旧版:Edward O. Wiley『Phylogenetics: The Theory and Practice of Phylogenetic Systematics』(1981年刊行,John Wiley & Sons, New York, xvi+439pp., ISBN:0471059757 [hbk])|宮正樹・西田周平・沖山宗雄訳『系統分類学:分岐分類の理論と実際』(1991年11月1日刊行,文一総合出版, 東京, xxii+528 pp., ISBN:4829930241)以来,実に30年ぶりの改訂となる本書は,生物体系学の教科書と位置づけられる.系統推定法に関しては,最節約法だけでなく,最尤法とベイズ法までを含んでいる.

Ed Wiley は今回の改訂に際して, pattern cladism に対するアンチの立場を鮮明にし,また旧版では前面に押し出していた Karl R. Popper の仮説演繹主義からは完全撤退している(らしい).かつて Ed Wiley がAMNHにいたときの論文:Edward O. Wiley 1975, Karl R. Popper, systematics, and classifications: a reply to Walter Bock and other evolutionary taxonomists. Systematic Zoology, 24: 233-243 (→ pdf) が,分岐学とポパー反証主義との「合体」を最初にぶちあげたことを考えれば隔世の感がある.ある学問分野が時空的に変遷するだけでなく,一研究者も月日とともにどんどん変遷する.

そういえば1998年のサンパウロでの Hennig Society Meeting で初めて会ったとき,すでに Ed Wiley は本書の旧版(1981年出版)の改訂を始めていると言っていたことを思い出した.この改訂版はすでに発注したがまだ届いていない.旧版との比較読みを今から(こわごわ)期待している.