『神保町 タンゴ喫茶劇場』

堀ミチヨ

(2012年6月30日刊行,新宿書房,東京,222 pp., ISBN:9784880084213版元ページ

読了.本書が,神保町のとある喫茶店でのルポルタージュかそれともフィクションかはどうでもよくて,あの場所ならさもありなんと何度もうなずけるのは,実際にその店に何度か行ったことがあるからだろう.ワタクシの『系統樹思考の世界』のテーマ音楽はプッチーニの歌劇〈トゥーランドット〉であり,続く『分類思考の世界』のテーマ音楽はマーラーの第二交響曲〈復活〉だった.そして,新刊『系統樹曼荼羅』のテーマ音楽はといえば,本書扉に引用したとおり,アストル・ピアソラ作曲のオペリータ〈ブエノスアイレスのマリア〉が指定されている.ピアソラがお好きなら,ぜひBGMにどーぞ.それぞれの本の原稿を書いているときに,もっとも染みこんできた曲を「テーマ音楽」に指定すると,それぞれの本(できかけの)が育つ文脈がごく自然に方向づけられるのはフシギだ.映画と同じように,本にも「テーマ音楽」があっていいと思うのだが,あまり他では聞いたことがない.