『書物の来歴、読者の役割』

松田隆美(編)

(2013年9月30日刊行,慶應義塾大学出版会[平成24年極東証券寄付講座〈文献学の世界〉],東京,1 color plate+vi+193+69+2 pp.,本体価格3,000円, ISBN:9784766420913版元ページ

昨日の三田での講義のときに本書の “非売品バージョン” を松田さんからいただいた.この〈文献学の世界〉シリーズの次巻にワタクシも寄稿することになる.本書は寄附講座報告書として出版されたもので,一般販売は念頭にないとのこと.講義後,三田の南校舎内〈社中交歡 萬來舍〉で「市販は何部刷られたんですか?」と訊いたところ,「400部です」と松田さんは答えた.もちろん,販売直後にすべて売り切れたらしく,現在は入手不能とのこと.しかも増刷予定なし.なんともったいない.

【目次】
前言[松田隆美] i


「見る書物」としての《バイユーのタピスリー》――その解釈の変遷[金沢百枝] 3
失われた自筆原稿を求めて――ダンテ『神曲』のテキストを読むということ[原基晶] 47
グーテンベルク聖書の手書き要素から辿る来歴[池田真弓] 79
エリザベス1世の侍女の時禱書――「フィトン時禱書」の特色と来歴[松田隆美] 99
閨秀古英語研究者のアソシエーション・コピー――エリザベス・エルストブとアンナ・ガーニーの場合[郄宮利行] 133
海を渡るヒロインたち――日本における翻訳小説と少女マンガ[大串尚代] 149
春と修羅』と賢治にとっての「本」[山本昭彦] 163
漢籍の書物捜索[郄橋智] 181


作品はどのように生成するか――エミール・ゾラから永井荷風へ[小倉孝誠] [1]
キリシタン時代の良心問題に関する手引書――マルティン・デ・アスピルクエタとその周辺[浅見雅一] [29]
もう一つの『百人一首』 ―― 五山文学受容の一様相[堀川貴司] [59]


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