『「悪所」の民俗誌:色町・芝居町のトポロジー』感想

沖浦和光
(2023年6月10日刊行,筑摩書房ちくま文庫・お-77-1],東京, 334 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-480-43886-7目次版元ページ

遊廓と芝居町という「場」がどのような歴史的経緯から生まれ,深く関わり合うようになったかが論じられている.個人的にはこういう “悪所” にはとても関心がある.本書では,平安時代末期の『遊女記』や『梁塵秘抄』をはじめとして,遊女や芸人の果たしてきた社会的な役割と地位の変遷を考察する.時代を下るにしたがって,遊女や芸人は “河原者” や “部落民” を含む「制外者」という周縁カテゴリーに取り込まれていった.

それにしても,本書にしろ,以前読んだ:西口克己』(1956〜58年,三一書房三一新書・25, 42, 136])にしろ,著者がいずれも日本共産党系というのは興味深い.