オランダ語の古辞書たち



ここ10年くらいの間に,日本でオランダ語を勉強するための参考書や辞書はずいぶん充実してきたと思う.しかし,その前は,ほとんど沙漠のように不毛な時代が長らく続いていて,かつて“蘭学”が栄えた国とはとても想像できないほどだった.手元にある昔の辞書を列挙しておく:南親会編『蘭和大辞典』(1943年6月20日刊行|1986年1月25日復刻,第一書房,ISBN: なし).※かつての日本の「南方領土(蘭印)」用に出た辞書だろう./P・A・ファン・デ・スタット編『日蘭辞典』(1934年12月10日刊行|1989年5月31日復刻,第一書房,ISBN: なし).※いまなお日本で唯一の「日→蘭」辞書だ./『Cassell's Dutch Dictionary』(1963年,第6版).※英→蘭|蘭→英の合体辞書.神保町にかつてあった辞書専門の進海堂書店にて,1970年代末に数千円出して買ったもの.当時はそういうふうにして辞書を入手するしかないほど,蘭語独習者にとっては厳しい時代だった.※付けたしですが,農環研の情報資料課が数年前に〈松村松年文庫〉を放出したときにも,独羅辞書・羅独辞書とともに,松村蔵書の蘭独/独蘭辞典『Kramers' duitsch woordenboek』(出版年不明,第7版)を入手したこともありました.