大川玲子
(2005年3月30日刊行,河出書房新社,ISBN:4309760600)
とにかく図版が美しい.とりわけ,「ヒジャージー体」や「クーフィー体」に始まるコーラン(クルアーン)の書体の変遷がきちんとたどられているところがいい.アラビア文字が読めないだけに,いっそうその“装飾性”がつよく印象づけられるのだと思う.ちょうど,ハングル文字のカリグラフィーが“絵”そのものに見えるのと同じ.過度の装飾性という点ではクルアーンの写本は,ケルト聖書『ケルズの書』(たとえば,バーナード・ミーハン『ケルズの書』2002年4月10日刊行,創元社,ISBN:4422230182)に通じるものがあるのかもしれない.読了.