『The R. A. Fisher Digital Archive』

URL: http://www.library.adelaide.edu.au/digitised/fisher/



アドレード大学で公開されている統計学者・進化学者ロナルド・A・フィッシャー(1890-1962)の電子アーカイブ.フィッシャーの主要著作と論文はここから pdf でダウンロードできる.1971〜74年にかけて同大学から刊行された『Collected Papers of R.A. Fisher』(全5巻,University of Adelaide,ISBN:0909688001)を踏まえて電子化されたものだ.この論文集は東大の生物測定学教室にいたときに公費購入したはずだが,いま調べてみたら Webcat に載っていない.フィッシャーの娘が書いた伝記 Joan Fisher Box『R.A. Fisher : The Life of a Scientist』(1978年,John Wiley and Sons,ISBN:0471093009)も同時購入したはずだが,やはり Webcat から漏れている.




晩年の Ronald A. Fisher 伝 − John Ludbrook (2005), R. A. Fisher's life and death in Australia, 1959-1962. The American Statistician, 59(2): 164-165. ※晩年,フィッシャーはオーストラリアのアデレードに移住してその生涯を終えた.著者は,その当時からの同僚として,この伝記記事を書いている.David Salsburg のFisher伝『The Lady Tasting Tea: How Statistics Revolutinalized Science in the Twentieth Century』(2001年,Henry Holt and Company,ISBN:0805071342)に言及し,そのいくつかの誤りを指摘している(とくに,彼の死因は結腸癌であって心臓発作ではないとのこと).その生涯にわたって“敵”が多かったフィッシャーだったが,アデレードの日々は実に穏やかだったという.「ハーメルンの笛吹き男」が子どもを従えて歩いたように,老フィッシャーは近隣の子どもたちを連れてはアデレードの郊外をめぐったそうだ−



In short, while he [Fisher] was in Adelaide he made only friends, never enemies.(p. 165)


うーむ,フィッシャーに対するイメージが大きく変わるなあ.