『日本の文様:その歴史』

樹下龍児

(2006年11月10日刊行,筑摩書房ちくま学芸文庫:キ-15-1], ISBN:4480090312



文庫書き下ろし.日本固有の模様からはじまり,唐草のような海外から渡来してきた模様が絡みつく.第2章前半では日本での唐草模様の変遷が跡づけられている.以前に読んだ伊藤俊治唐草抄:装飾文様生命誌』(2005年12月15日刊行,牛若丸[発行]/星雲社[発売], ISBN: 4-434-07164-5→目次書評)を想起させる.

本書全体にわたって計300葉あまりの図版が貼り込まれているにもかかわらず,結果的に本文テキストの方が勝っているように感じたのは,きっと“文庫”という本のかたちのせいだろうと思う.とくに,並行読書しているヘッケル本がことのほか大きな図集だったので,落差感覚がいっそう強まったのかもしれない.また,白黒写真ばかりだが,やはりカラー図版もあってほしかったな.




【目次】
はじめに 9

第1章:文様の始原・衝動から生まれたかたち

 1. 原始的図形 16
  円と三角 16
  渦巻き 31
 2. 宗教的図形 38
  円,三角,四角 38
 3. いのちを発動させる図形 46
  卍 46
 4. 世界認識のしるし 51
  十字と×印 51

第2章:外来文様・好奇心をゆさぶるかたち

 1. 古墳時代から平安時代 60
  パルメット唐草 60
  雲気 81
  葡萄唐草 114
  宝相華 157
 2. 鎌倉時代から室町時代 203
  牡丹唐草 203
 3. 桃山時代から江戸時代 246
  南蛮人,紅毛人の往来 246
 4. 幕末から明治,大正,昭和時代 331
  文明開化とモダニズム 331


参考文献 371
あとがき 381
図版索引 [iv-xi]
本文文様名索引 [i-iv]