小宮正安
(2007年9月19日刊行, 集英社新書[ヴィジュアル版005], ISBN:9784087204094)
装丁の基本が佐藤明『バロック・アナトミア』(2005年5月31日刊行,トレヴィル/河出書房新社, ISBN:4309906370)と共通しているような.たとえば,黒字に白抜きのブラック・レターを配置したりとか.しかし,そういう外見的なことだけではなく,『バロック・アナトミア』が撮ったフィレンツェの「ラ・スペコラ」は,『愉悦の蒐集』には載っていないもうひとつの“Wunderkammer”であることは確かだ.特に,本書の第5章で2冊の本が重なってくる.
【目次】
現存する主なヴンダーカンマー関連施設地図 6
プロローグ 9第1章 遊べ! ヴンダーカンマー 17
驚きへの入り口/アンブラス城の成り立ち/愉しき宴会グッズ/化け物屋敷の魅力/ユーモアの園第2章 宇宙の調和を求めて 43
蒐集への情熱/ストゥディオーロの謎/見せる=魅せるヴンダーカンマー/広がりゆく世界/宇宙の秩序を可視化する/楽の園第3章 術のある部屋 77
胡散臭い「自然物」/クンストとは何か/自然の手,人間の手/キメラの天地/閉じ込める手/機会仕掛けの園第4章 ヴンダーカンマー縦横無尽 109
プラハ城のヴンダーカンマー/ムサエウムの肖像たち/古代への憧憬/ルドルフ二世の失墜/キルヒャー博物館/人間ヴンダーカンマー列伝第5章 バロックの部屋にて 143
強王の穹窿/「歪んだ真珠」の時代/近代化への扉/マッド・サイエンス/聖職者の秘密の園/プロテスタントとヴンダーカンマー第6章 ヴンダーカンマーの黄昏 179
ある大公のギャラリー/変質するヴンダーカンマー/キャビネットという存在/神を忘れたヴンダーカンマー/消し去られた珍奇
エピローグ 209
おわりに 216
参考文献 [220-217]
現存する主なヴンダーカンマー関連施設の所在地 [222-221]