『Textkritik [Zweite verbesserte und vermehrte Auflage]』

Paul Maas

(1949年改訂増補第2版刊行[1927年初版刊行],B. G. Teubner Verlaggesellschaft, Leipzig, 31pp. → 目次

ドイツの古書店から届いた文献系図学の古典:文献系図における“分岐学的方法”を別個に確立した本として有名.30ページほどのパンフレットのように薄い本だが,伝承写本から祖本を推論する論理について簡潔にまとめられている.このツリーの形式化は明らかに“分岐学的”であることが見て取れる.



この改訂増補第2版は1927年の初版(pp. 1-25)に,1937年の論文「Leitfehler und stemmatische Typen」を付録(pp. 27-31)として付けたもの.なお,この第2版を踏まえた英訳が出版されている:Paul Maas『Textual Criticism』(1958年刊行,Oxford at Clarendon Press).この英訳版はオンライン化されていて,その一部は「Questia」で無料で見ることができる(全文閲覧は有料).独語原書は第4版まで増刷されたようだ.



—— この古書も第二次世界大戦直後の敗戦国ドイツの厳しい紙事情を反映してか,質の悪いことこの上ない.紙の変色と変質,そして造本はほぼ崩壊寸前で,いつばらばらの紙束になっても不思議ではない.この時期のドイツの本はどれもこれも取り扱い注意だ.