『世界制作の方法』

ネルソン・グッドマン[菅野盾樹訳]

(2008年2月10日刊行,筑摩書房ちくま学芸文庫],296+ix pp.,税込価格1,365円,ISBN:9784480091253版元ページ



この翻訳はもとは20年前にみすず書房から出された:ネルソン・グッドマン[菅野盾樹・中村雅之訳]『世界制作の方法』(1987年10月30日刊行,みすず書房,xii+274+ix pp.,本体価格2,500円,ISBN:4622006235).30ページに及ぶ詳細な「訳者解説」が新たに付けられている.日本では分析哲学を専門にしている研究者であっても,グッドマンはみごとに脇に押しやられていると訳者は言う:




我が国の読書会にとり,哲学者グッドマンはまったくと言っていいほど無名の人物である.[……]そのうえ,我が国では,その名を当然わきまえている科学哲学の専門家の大方も,彼をもっぱら機能にかんするあの〈グッドマンのパラドックス〉を案出したいっぷう変わった哲学者として,あるいは特異な唯名論の提唱者として言及するにとどめているようだ.最近,日本人研究者が全編を執筆したということを謳い文句とする「哲学史」の叢書が刊行されつつあるが,旧弊はいっこうに是正されていない.欧米と日本におけるグッドマン研究の実績と評価には著しいアンバランスがある.(pp. 294-295)



—— 一般的な分類理論の世界ではグッドマンに出会う機会は比較的多いように思う.最近は,メレオロジーがらみで再び彼と対面している.