『プレートテクトニクスの拒絶と受容:戦後日本の地球科学史』

泊次郎

(2008年06月2日刊行,東京大学出版会,vi+258 pp.,本体価格3,800円,ISBN:9784130603072版元ページ



まだブラウズしている段階だが,読めば読むほど戦後の“地団研”の動きは,同時代だった“ルイセンコ”な人びとのふるまいと連動している(少なくとも類似している)と感じる.前者の「井尻正二」と後者の「徳田御稔」とは当時の科学者コミュニティでの「イコン」としての性格がきっと似ていたのだろう.驚くべきは,プレート・テクトニクス理論の受容を執拗に拒み続けた“地団研”の影響が,少なくとも「1985年」までは日本の地質学界では残っていたという著者の指摘だ.とすると,これは昔話のたぐいでは決してなく,むしろ「いま」の話になってしまうじゃないか!