『The Phylogeny of Vertebrata』

Søren Løvtrup

(1977年刊行,John Wiley & Sons, London, xii+330 pp., ISBN:047199412X



冒頭の章で約50ページにわたる系統体系学の“公理化”が論じられている.基本的には分岐学のアプローチを採用しているのだが,ところどころで表形学的な“振れ”があるのが印象に残った.系統発生に関わる「公理」を置くことで,論議をクリアにしようという意図が見えた.

大学院にいた頃に,彼から理論生物学に関係する別刷り一式を送ってもらったことがある.G・G・シンプソン[白上謙一訳]『動物分類学の基礎』(1974年刊行,岩波書店)の訳者あとがきには,Løvtrup が登場し,「日本名・葉山巌」とわざわざ注記している.同じ発生学者として白上は Løvtrup ときっと知り合いだったのだろうが,この「日本名」がいったい何を意味しているのか,いまだにつきとめられないままだ.