『ボン書店の幻:モダニズム出版社の光と影』

内堀弘

(2008年10月10日刊行, 筑摩書房ちくま文庫],294 pp., 本体価格950円, ISBN:9784480424662版元ページ

「四の五の言わずとにかく手に取って読め」というタイプの本です.本書の主人公であるボン書店店主(鳥羽茂)だけでなく,本書を書いた著者(石神井書林店主)もすばらしい.本書の初版本は手にしたことがないが,書名だけはどこかで目にしたような記憶がある.伊達得夫詩人たち ユリイカ』(2005年11月10日刊行, 平凡社ライブラリー558, ISBN:4582765580紹介)に関連してか,それとも本書に解説を寄せている長谷川郁夫の読みかけの本:長谷川郁夫『美酒と革嚢:第一書房長谷川巳之吉』(2006年8月30日刊行,河出書房新社ISBN:4309017738目次)に触れられていたからかは定かではない.第二次世界大戦のさなかに“消えた”鳥羽茂の足跡を追い求めるようすは著者の尋常ならざる執念を漂わせる.長い探索の末に明らかになるその結末を急いではいけない.