『Alexander von Humboldt: A Metabiography』

Nicolaas A. Rupke

(2008年6月刊行, The University of Chicago Press, Chicago, 316 pp., ISBN:9780226731490 [pbk] → 目次版元ページ

ドイツにおいて「アレクサンダー・フォン・フンボルト」の人物像がこれまでどのように描かれてきたかをたどった本.彼が没した1859年以降,ドイツという国家がたどってきた道のりとフンボルト伝記との関わりについて考察している.序章の p. 14 図1に,フンボルトに関する引用分析のグラフが載っている.生年(1769年)と没年(1859年)のそれぞれ一世紀ごとに,鋭いスパイクのような“引用の峰”が目を引く.しかし,そのようないわば“一過性”のブームを除去しても,なお残る増加トレンド(著者の言う「フンボルト現象」)に注目しよう.「フンボルト」は時代を超えて着実に注目を集めつつあるということだろう.著者もまたその事実をふまえて本書を著したにちがいない.海流やペンギンだけが「フンボルト」ではないのだ.

—— 原本は,2005年に Peter Lang から出版された同タイトルのハードカバー版:Nicolaas A. Rupke『Alexander von Humboldt: A Metabiography』(2005年刊行,Peter Lang, Frankfurt am Main, ISBN:9783631539323 [hbk] : out of print → 版元ページ).