『みんなの進化論』

ディヴィッド・スローン・ウィルソン[中尾ゆかり訳]

(2009年4月25日刊行,日本放送出版協会,東京,411 + 26 pp., 本体価格2,300円, ISBN:9784140813713目次

生物学哲学者 Elliott Sober の長年にわたる「相棒」であるウィルソン氏の新刊だ.今から2年ほど前に,別の出版社から,本書の翻訳権をゲットしたいのでリーディングしてほしいと依頼され,原書:David Sloan Wilson『Evolution for Everyone: How Darwin's Theory Can Change the Way We Think About Our Lives』(2007年3月27日刊行,Delacorte Press,x+390 pp.,ISBN:9780385340212 [hbk] / ISBN:9780385340922 [pbk] → 書評目次著者サイト)が出版される前のゲラの束を通読したことがあった.結果を言えば,残念ながらこの出版社は首尾よく本書の翻訳権を取ることができなかった.この翻訳はいったいどこの出版社から出るのだろうと思っていたのだが,そうですか,ここから出ましたか.現代進化学の「普及」という点ではこの本は十分に成功していると思う.D. S. Wilson はばりばり理論派の進化学者だとぼくは理解しているが,『みんなの進化論』の著者は微笑みとともに向こうからやってきた.