『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』

三中信宏

(2009年9月20日刊行予定,講談社[現代新書2014],ISBN:9784062880145コンパニオンサイト

メインタイトルはずっと前に決まっていましたが,サブタイトルが今月に入ってやっと確定しました.いま初校ゲラを修正している途中ですが,目次に関しても節の見出しまでは確定しているので下記に記しておきます.

追記(2009年8月14日)]現代新書通巻番号が確定したので,ISBNを付記した.

【目次】

プロローグ:生まれしものは滅びゆく(二〇〇六年オアハカ,メキシコ)

 第1章 「種」に交わればキリがない

  1.日本最低の山と日本最短の川

  2.リンネから三〇〇年−分類学はいま

  3.分類するは人の常

  4.開かれた難問=「種」の問題

 第2章 「種」よ,人の望みの喜びよ

  1.仲間はずれのカモノハシ君

  2.あるものはある,ないものもある

  3.問われない分類の存在論をあえて問う

  4.そして形而上学の聖なる泥沼へ沈んでいく

 第3章 老狐幽霊非怪物,清風明月是真怪

  1.虚ろな空間が不安である理由

  2.共時的な多様性と継時的な可変性

  3.今日のワタシは昨日のワタシか

  4.「心は妖怪の母と申してよろしい」

 第4章 真なるものはつねに秘匿されている

  1.秋深まる京都にてレトリックにめぐり合う

  2.引導をわたす哲学者:メタファーと類似性の関係

  3.秘匿されたメトニミーは何を見ているか

  4.ヒトは心理的本質主義者である

 第5章 いたるところリヴァイアサンあり

  1.群として生きる

  2.群として進化する

  3.進化するものが「種」である

  4.リヴァイアサン,あるいは超個体としての群はあるか

 第6章 プリンキピア・タクソノミカ

  1.ルーツとしての『プリンキピア・マテマティカ

  2.「種カテゴリー」をめぐる問題

  3.「種タクソン」をめぐる問題

  4.来たる時代の『プリンキピア・タクソノミカ』

インテルメッツォ:実在是表象,表象是実在(二〇〇七年ニューオーリンズアメリカ)

 第7章 一度目は喜劇,二度目は茶番

  1.過ぎ去った昔のことではなく

  2.ルイセンコ論争と種概念

  3.「種は現実に存在する単位である」

  4.隠れた水脈と隠された知脈を求めて

 第8章 つながるつながるつながるなかで

  1.“見えざる手”に遠隔操作され

  2.万物流転とイデアによる救済

  3.種をめぐる「本質主義物語」

  4.「わたしはわたしを見つけ出す」

 第9章 ナボコフの“ブルース”

  1.「種」は“システム”であってほしいか

  2.「本質主義」的方法論の終焉

  3.「蝶が私を選んだんだよ」

 第10章 目覚めよ、すべての花よ

  1.上野の森のダーウィン生誕二〇〇年祭

  2.グレの入り江に『種の起源』が流れ着く

  3.「神よ,御身は道を誤れり」

  4.“古い分類学”で何が悪い

 第11章 時空ワームの断片として

  1.木を見て,森も見る

  2.系譜はかぎりなく変化する

  3.四次元空間の“時空ワーム”

  4.「生命の樹」の断片として生きる

 第12章 「種」よ,安らかに眠りたまえ

  1.ゲッティンゲンの石畳を踏みしめて

  2.パウルとフランツィスカの物語

  3.ヒトは「種問題」とともに

  4.「記載の科学」から「分類の科学」へ

  5.コーダ —— 永遠なる「種」を慕って

エピローグ:滅びしものはよみがえる(二〇〇八年トゥクマン,アルゼンチン)

 私的ガイド付き文献リスト(現世で迷わないために)

 あとがき

 初出一覧

前著『系統樹思考の世界』ではプッチーニの歌劇〈トゥーランドット〉がBGMでした.今度の新刊ではグスタフ・マーラーの第二交響曲〈復活〉が全編にわたるBGMとして指定されています.また,ところどころアルノルト・シェーンベルクの〈グレの歌〉の歌詞がライトモチーフとして引用されています.