『蝶コレクターの黒い欲望:乱獲と密売はいかに自然を破壊したか?』

ピーター・ラウファー[寺西のぶ子訳]

(2010年8月30日刊行,河出書房新社,東京,312 pp.,本体価格1,900円,ISBN:9784309205465目次版元ページ

書評を書くためにすでに読み始めている.本書の著者はジャーナリストで,湾岸戦争がらみの社会問題などを中心に執筆活動を続けてきたという.たまたま偶然,本書の中心テーマである「チョウ」にめぐりあい,自然保護・保全活動・政治問題と絡めて,チョウ採集の世界をコレクターの立場から二年間にわたって追跡した結果を一冊の本としてまとめた.

まだ読了していないが,著者はジャーナリストとしての目でもって,珍品・稀少品のチョウを求めて世界をまたにかける標本商やコレクターの活動,そのようにして蒐集されたチョウの国際売買のウラ側,売られたチョウのゆくえを追跡する.

前に読んだ類書:川村俊一『虫に追われて:昆虫標本商の打ち明け話』<(2009年1月30日刊行,河出書房新社,東京,238 pp., 本体価格1,600円,ISBN:9784309019031書評目次版元ページ)は,昆虫標本商の立場から,チョウを含む昆虫コレクターの「現場」のありさまを伝えている.本書に記されたレポートとどのように響きあうのか気になるところである.

最初,この本を手にしたとき,訳書タイトルが過度にジャーナリスティックのように感じたが,著者の本職を考えれば実はこれが適当なのかもしれない.

—— いずれにせよ,読了した時点で書評を書くことになる.