『日蘭辞典』

P. A. van de Stadt編

(1934年12月10日刊行,南洋協會,東京|1989年5月31日復刻,第一書房

オランダ語は江戸時代に日本に到来し,対外的な“公用語”として用いられたにもかかわらず,明治維新を越えてその命脈は絶たれた.現在にいたるまで唯一の和蘭辞典である本書は,現在では電子化公開されている.しかし,その編者「P. A. van de Stadt」については経歴などの情報がなく,復刻版の巻末には「本書の著者であるファン デ スタット氏の消息もしくはご遺族をご存じの方は,下記[第一書房]までご連絡頂ければ幸いです」と記されている.ところが,意外なことにツイッター上のオランダの知人からそのファン・デ・スタットの遺族が特定できたとの情報が得られた.

この『日蘭辞典』は南親会編『蘭和大辞典』(1943年6月20日刊行,創造社,東京|1986年1月25日復刻,第一書房)とともにペアー復刻された.当時の日本ではオランダ語辞典がまったく出版されていなかったので貴重な復刻だった.日本ではオランダ語辞書が入手出来なかったものだから,前世紀末にライデンに学会出張したときは,これ幸いと帰りがけに Van Daleの蘭蘭(全三巻)・英蘭・蘭英・独蘭・蘭独の計7冊の大辞典を買ってしまったものだから,Leiden Centraal 駅近くの郵便局から郵送するはめになった.

ファン・デ・スタット辞書の後継となる〈新日蘭辞典編纂プロジェクト〉がスムーズに進捗してほしいと思う.