『世界のことば・辞書の辞典(ヨーロッパ編)』

石井米雄(編)

(2008年8月25日刊行,三省堂,xii+488 pp.,本体価格3,200円,ISBN:9784385363912目次版元ページ



この「ヨーロッパ編」では,35のヨーロッパ圏の言語について,その言語圏における辞書の成り立ちから始まり,著名な辞書,現代の標準辞書,そして特殊辞書まで含めて詳しく述べられている.「辞書の本」としては要注目.本文500ページもの厚さがある本書は,単に informative であるだけでなく,とても楽しい.ヨーロッパ圏の言語といえども,英独仏などメジャーな言語以外の情報はなかなか入ってこない.10年ほど前,オランダに行ったおり,市内の書店で手に入る蘭語辞書をすべて買い集めたことがあった(大辞典のみ10冊ばかり).本書の「オランダ語」の項を見ると,手元にあるそれらの辞書がどのようにアップデートされているかがよくわかる.ヘルシンキでもフィンランド語の辞書を手当たりしだいに買い求めたが,これまた「フィンランド語」の項をみて自分のセレクションが“外れ”ではなかったことに安心した.姉妹編の「アジア編」と合わせて,辞書フリークにとっては手放せない本になりそう.