毎年恒例となったみすず書房の『月刊みすず』の年頭「読書アンケート」特集.原稿はまだ書いていないけど,今回は下記の5冊を選び,次点5冊と合わせて下記の通りリストアップした:
今年の5冊
【書名】The Book of Trees: Visualizing Branches of Knowledge
【著者】Manuel Lima
【刊行】2014年4月
【出版】Princeton Architectural Press, New York
【ISBN】978-1-61689-218-0 [hbk]
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140415/1397545362
【短評】フルカラー版のアナザー「系統樹曼荼羅」本.千年の時を超えて知識の樹と情報可視化がつながる偶然と必然.
【書名】科学の地理学:場所が問題になるとき
【著者】デイヴィッド・リヴィングストン[梶雅範・山田俊弘訳]
【刊行】2014年6月16日
【出版】法政大学出版局,東京
【ISBN】978-4-588-37120-2
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140814/1407913851
【短評】ローカルな研究の場で生まれる科学的知識は格闘して初めてグローバルになれることを具体的事例とともに論じた本.
【書名】実在論と知識の自然化:自然種の一般理論とその応用
【著者】植原亮
【刊行】2013年12月20日
【出版】勁草書房,東京
【ISBN】978-4-326-10227-3
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140208/1391921879
【短評】自然種(natural kind)をめぐる実在論的スタンスの勝利宣言の書.ワタクシはぜんぜん折伏されなかったけどおもしろい.
【書名】ラインズ:線の文化史
【著者】ティム・インゴルド[工藤晋訳]
【刊行】2014年6月30日
【出版】左右社,東京
【ISBN】978-4-86528-101-9
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140601/1401602761
【短評】「線」をめぐる広範な人類学的・文化史的論考.想像力をかきたてられ,章ごとに思考が多方向に広がっていく.
【書名】Cogwheels of the Mind: The Story of Venn Diagrams
【著者】Anthony W. F. Edwards
【刊行】2004年
【出版】The Johns Hopkins University Press, Baltimore
【ISBN】0-8018-7434-3
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140126/1390687435
【短評】集合論のベン図(オイラー図)をめぐる歴史と物語.論理学における可視化を取り上げためずらしい本.尤度は出てこないよ.
次点5冊
【書名】ある文人学者の肖像:評伝・富士川英郎
【著者】富士川義之
【刊行】2014年3月5日
【出版】新書館,東京
【ISBN】978-4-403-21106-5
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140511/1399770529
【短評】ある「文人学者」の評伝.今はもう “野生絶滅” が危惧されるこういうタイプの学者がかつての大学には確かにいた.
【書名】工作舎物語:眠りたくなかった時代
【著者】臼田捷治
【刊行】2014年12月10日
【出版】左右社, 東京
【ISBN】978-4-86528-109-5
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20141223/1419255427
【短評】1970年代のある出版社をめぐる人脈の系譜.そのネットワークと知的遺産は現在もなお残存し残響している.
【書名】The Evolution of Phylogenetic Systematics
【編者】Andrew Hamilton
【刊行】2014年
【出版】University of California Press[Series: Species and Systematics, Volume 5], Berkeley
【ISBN】978-0-520-27658-1
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140711/1404969658
【短評】系統体系学(phylogenetic systematics)の現代史をめぐる論集.特定の科学の歴史を見る視点はただひとつではない.
【書名】読書礼讃
【著者】アルベルト・マングェル[野中邦子訳]
【刊行】2014年6月10日
【出版】白水社,東京
【ISBN】978-4-560-08357-4
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20141230/1419943054
【短評】本を書き,本を読み,本を造る ― 広い意味での「読書」を中心テーマとして著者の個人史は南米・中東・欧州をまたいで広がる.
【書名】筆順のはなし
【著者】松本仁志
【刊行】2012年11月10日
【出版】中央公論新社[中公新書ラクレ・435],東京
【ISBN】978-4-12-150435-7
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20140513/1399927683
【短評】ワタクシ的には “救われた” 感がとても強い本だった.学校教育での漢字筆順の「規範」は閉じた世界の中だけに通用する.