『思考の体系学:分類と系統から見たダイアグラム論』見本刷りもうすぐ

三中信宏

(2017年4月25日刊行,春秋社,東京, 6+316+23 pp., 本体価格2,500円, ISBN:9784393333556目次コンパニオン・サイト

見本刷りは来週月曜にはできあがり,火曜にはつくばに届くらしい.ブツが書店に並ぶのは4月27日頃(地域によって前後する)とのこと.出版契約書も同時にやってくるので,年明けからの一連のじたばたはやっと幕になる.いやいやそれにしても先月からの速攻ぶりはただごとではなかった.本の原稿を書き上げるのは全体から言えば途中折り返し点にすぎない.その先が実は長い.

そういえば,昔々の前世紀末,『生物系統学』を書いていたまだマジメな30代なかばのころ,旧国研時代の農環研に「これこれこういう本を書いていまして」と口を滑らせたとたん,「それはすぐに所に届け出よ」と言われ,何かよくわからない申請書類を書かされたことを思い出す.「書いている本の書名は何か?」「ページ数はどれくらいか?」「販売価格は?」「部数は?」「出版契約書は?」と立て続けに “非常識” きわまりない設問項目だったので,すべて「未定」「不明」「不確定」などと書きなぐって届け出た.

まだ原稿を書いている最中にそんなことがわかるはずないじゃん.書名とか部数とか価格はゲラが出て印刷所に原稿が入稿される段階でやっと確定する.出版契約書に至っては出版された「後」に取り交わすもんでしょ.日本の出版業界の商慣習を知らんのか.

そういうことがあって以降,ワタクシが本を書くときは周囲の誰にも一言も言わずに書き続け,完成したブツが手元に届いてから,「こんなん書きましたぁ」と所に届け出ることにしている.ワタクシがいま何を書いているかは所内の誰も知らない.シアワセである.