『リゾーム…序』

ジル・ドゥルーズ,フェリックス・ガタリ豊崎光一訳)

(1977年10月10日刊行, 朝日出版社エピステーメー臨時増刊号], ISBN4-255-87019-5)



こういう装幀はかつて一世を風靡したなあ.10年前の『生物系統学』で彼らの「リゾーム」論を根絶やしにしたときは(あ,もともと根がないからダメか),この訳本が手に入らなかったので,同じ著者による『千のプラトー』を参照したことを思い出した(中身はおんなじだからどちらでも別にいいんだけど).


〈List-MJ:日本産蛾類総目録〉の更新と公開

http://listmj.mothprog.com/



神保宇嗣さんが公開した.もともとは,井上寛・杉繁郎・黒子浩・森内茂・川辺湛・大和田守『日本産蛾類大図鑑(I, II)』(1982年9月20日刊行, 講談社ISBN:4069938222 [Set] / ISBN:4061240374 [Vol. I] / ISBN:4061240366 [Vol. II])への補遺(Post-MJ)としてまとめられていたものを母体として,さらなる追加を含めて,新たに電子化した目録.


『生気論の歴史と理論』

ハンス・ドリーシュ著(米本昌平訳・解説)

(2007年1月30日刊行,書籍工房早山,ISBN:4886115047



本書に関連して,〈leeswijzer〉で,「なぜいまドリーシュ?」と書いたら,訳者の意図に関していくつかコメントをいただいた.ひとつは,訳者の前著『独学の時代:新しい知の地平を求めて』(2002年8月刊行, NTT出版ISBN:4757140436版元ページ)の中で,すでにドリーシュへの再評価がなされているというご指摘.もうひとつは,茂木健一郎氏との対談録画(〈クオリア日記〉2007年3月10日付の記事とそこからリンクされている77分の MP3 ファイル)が参考になるとの情報提供だ.どうもありがとうごさざいます.


『デザインとヴィジュアル・コミュニケーション』

ブルーノ・ムナーリ(萱野有美訳)

(2006年11月24日刊行,みすず書房ISBN:4622072106目次



著者は言う:




意図的なヴィジュアル・コミュニケーションの場合は,2つの側面下で考察されうる.それは美的情報と実質的情報である.[……]美感とは万人にとって同じものではなく民族の数だけ,あるいは世界の人間の数だけ存在するものだ.だから1枚の製図,あるいは一葉の報道写真に,それぞれが個別の美を見出しうる.しかしこの場合ヴィジュアル・オペレーターは,美を客観的に理解できるようなデータによって明らかにする術を心得る必要がある.(pp. 93-94)



視覚的コミュニケーター(=オペレーター)としての「視覚言語ユーザー」の使命みたいなものが必要とされるのだろう.この〈第2部〉はさまざまなデザインを集成した「図版集」のような体裁で編まれている(テキストよりは図版の方が多い).全体を通じて翻訳文はイマイチ練れていない気もするが,そこは読者ひとりひとりがしっかりとヴィジュアル・コミュニケーションに努めることで,本書の目的は達成されるにちがいない.“かたち”に関心のある読者にとって,本書はきっとおもしろいだろう.もちろん,系統樹ユーザーにとっても得るものはあるはずだ.