『高次元図形サイエンス』

宮崎興二(編著)/石井源久・山口哲(共著)

(2005年2月20日刊行,京都大学学術出版会,ISBN:4876986452



「触れる」高次元図形というのがとても魅力的.とっても大判な本で,カラー図版ふんだん.系統樹や系統ネットワークあるいは系統ジャングルに関心のある人や予期せず絡めとられてしまった人にはこういう本がきっと必要です.

というのも,系統ネットワークの道に足を踏み入れた時点で,高次元酔いは「職業病」みたいなものだろうと思います(潜水病みたいなもんかな).本書の図版の部分だけをまずはブラウズしているのですが,おそらく系統ネットワークの高次元酔いの治療に有効な部分があるかもしれません.系統ネットワークは,確かに十分に絡みあっていて,よく「見えない」のはその通りなのですが,たかだか「n次元立方体」に過ぎないわけでして,この本で一般的に論じられているような「n次元多胞体」(多面体の高次元バージョン)に比べればはるかにシンプルですね.

こういう高次元酔いには,次元減少と視覚化というのが常套手段で(統計学でいう多変量解析と同一の戦略),この本でも高次元図形をどのように射影・切断・展開するか,そしてどのようにそれをヴィジュアル化するかということに主眼が置かれているようです.




【目次】
カラー・口絵 i
はじめに v

第1章:図形的な高次元空間 1
 1−1:高次元空間の図形的概念 2
 1−2:高次元空間の図形的変遷 5

第2章:基礎的な高次元図形 9
 2−1:点・線・面・胞 10
 2−2:多胞体 14
 2−3:高次元立方体 18

第3章:高次元図形の投影 21
 3−1:投影原理 22
 3−2:直投影 32
 3−3:斜投影 41
 3−4:中心投影 45

第4章:高次元図形の回転と切断 49
 4−1:回転 50
 4−2:切断 61

第5章:正多胞体 73
 5−1:正多胞体 74
 5−2:正多胞体の投影 81
 5−3:正多胞体の回転と切断 96

第6章:準正多胞体と半正多胞体 100
 6−1:準正多胞体 110
 6−2:半正多胞体 122
 6−3:特殊な半正多胞体 136

第7章:正規多胞体 143
 7−1:正規多胞体 144
 7−2:正規多胞体の系図 156

第8章:いろいろな多胞体 165
 8−1:星形正多胞体 166
 8−2:双対半正多胞体 174
 8−3:ねじれ多胞体 178
 8−4:平行多胞体 185
 8−5:ゾノトープ 197

第9章:高次元球面 213
 9−1:高次元球面 214
 9−2:高次元球面の投影 222
 9−3:高次元球配置 226

第10章:いろいろな超曲面 231
 10−1:2次超曲面 232
 10−2:高次超曲面 244
 10−3:関数超曲面 250
 10−4:自由超曲面 256

参考文献 263
謝辞 267
索引 268