『風景と記憶』

サイモン・シャーマ

(2005年2月28日刊行,河出書房新社ISBN:4309255167



第2章「林道 — 森を抜ける道」を読了.第1章のキーワードがシャーマのルーツである“リトアニア”なら,第2章のそれは“ゲルマニア”.タキトゥスからヒトラーにいたる「ゲルマン文化」と「森」との関わり合いを「森の絵」の図像から読み取る.そういえば,ギドン・クレーメルの『Kindheidssplitter』の結末で,生まれ故郷のラトヴィアとの別れ(Abschied)が Kindheid との別れだと書かれていた.後年,エストニア出身の作曲家アルヴォ・ペルトとの関わりが生じるわけだが,一種の心象的回帰か.