『境界知のダイナミズム』

瀬名秀明・橋本敬・梅田聡

(2006年12月15日刊行,岩波書店[フォーラム 共通知をひらく], ISBN:4000263447関連情報



【目次】

序章 〈境界知〉を見出すまで (瀬名秀明) 1

どうしてそんな気分になったのか,ちっとも理由はわからない/違和感を見出す能力/本書が目指そうとしていること

第1章 違和であり続けること (瀬名秀明) 19

違和感と異和感/異文化コミュニケーションにおける視点位置/違和感のプラス面とマイナス面/〈境界知〉とVR/看護職者の視点展開/一回性の人生における量的研究と質的研究/文理の境界/世界をどのような視点で捉えるか/おとぎばなしこそ完全無欠/懐かしさは断絶の架け橋となるのか/違和のまま留まるということ

第2章 境界を生みだす脳と心 (梅田聡) 63

違和感の無意識性/もうひとつの違和感/標準と標準圏/境界の構築/「ラベル」という境界/脳が感じる違和感/身体が感じる違和感

第3章 〈境界知〉の現場を探る (瀬名秀明) 83

「自分」と「ふつう」の距離感/文化と境界/コミュニケーションのルールは変化する/予測と信念/情報を信頼するということ/社会がつくるヒトの信念/「不気味の谷」は実在するか/なぜロボットとヒトの間は不気味なのか/異常であること,ふつうであること/分類と主観/アブダクション系統樹思考

第4章 ことばと〈境界知〉 (橋本敬) 137

ことばへの違和感/「言語知識」を持つということ/内容語と機能語/文法化という言語のダイナミクス/再分析と類推/文法化のシミュレーションによる分析/言語変化・文法化を生じさせる能力と〈境界知〉/文法化と言語の起源・進化/制度としての言語/〈境界知〉と知識のダイナミズム/ルールダイナミクス/ことばの生み出す「境界」/動的言語観と〈境界知〉/〈境界知〉の創造性

第5章 共通感覚の勇気へ (瀬名秀明) 185

自動化と自由/共通感覚論/〈暗黙知〉と〈共通感覚〉/適応的無意識/想起される痛み,共感する悲しみ/儀礼がもたらす変化/境界そのものになること/コンラッドとシャドウ・ライン/カミュと異邦人/信頼は冒険者のツールたり得るか/信頼のゲーム/排除という社会的知能/シンパシーとエンパシー/痛みをどうとらえるか/よい自伝の作者になる/信じ続けること/コモン・センスへの信頼/サイエンティストであること

終章 〈境界知〉のダイナミズム (瀬名秀明・橋本敬) 263