『ページと力:手わざ,そしてデジタル・デザイン』

鈴木一誌

(2002年11月8日刊行,青土社ISBN:479176000X



第1章「文字」をほぼ読了.テキストをとりまく組版・デザイン・装幀などに対するこだわりがある著者だからこそこういう本が書けるのだろう.字体・書体・字形について,著者は次のように定義する(pp. 46-47):




  • 字体:文字の骨格をなす点画の組み合わせをいう.
  • 書体:文字の共通の肉付けの状態をいう.すなわち同じコンセプトに基づいてデザインされた共通の字形表現方法をいう.
  • 字形:具体的に表現された個々の文字の形をいう.大きさまで含まれる.


この定義にしたがえば,「字形」とは size-and-shape を変換不変量とする「form space」に属し,「書体」とは「字形」をサイズでスケーリングした「shape space」に属するということになるだろう.もちろん,書体の具現化としての字形にはばらつきが生じるはずだから,それもこみにして考えないといけないかも(字形=書体+誤差).書体そのものは認知カテゴリー化でグルーピングできるだろう.最後の「字形」は,そういう認知カテゴリーの“壁”を越えたちがいをあらわすということだろう.