『サンカの真実 三角寛の虚構』

筒井功

(2006年10月20日刊行,文藝春秋[文春新書533], ISBN:416660533X



読了.“サンカ”の研究者として有名な三角寛を徹底的に糾弾する本.少し前に出た同じ著者の前著『漂白の民サンカを追って』(2005年7月刊行,現代書館ISBN:4768469027)が,三角寛の全集を含め彼の“サンカ”本を一手に引き受けてきた現代書館から出版されたというのも考えようによってはすごいことだ.

三角寛の「サンカ研究」のウソを,彼の生い立ち以来の“個人史”をたどり,彼が持って生まれた“虚言癖”とともに暴こうとする.三上寛というペンネームの背後にある自称経歴の虚構性,朝日新聞社記者の頃から人気小説家時代を経てサンカ研究家になって以降も続く著作物の虚構性,そして描かれた“サンカ”なるものが帯びてしまった虚構性を指弾した上で,著者は自分自身(と今後)のサンカ研究について論じている.