『国字の位相と展開』(概略目次)

笹原宏之

(2007年3月31日刊行, 三省堂ISBN:9784385362632版元ページ

地理的変異としての「国字」は言語系統地理学(linguistic phylogeography)の格好の素材だろう.先日の新聞報道で本書の出版を知った:「漢字にも「方言」:早大教授が100以上の地域文字発見」(asahi.com:2007年04月16日06時06分).実物はまだ手にしていないが,「885+46 pp.」というから900ページを越す大著らしい.機会があればぜひ手にしてみたいものだ.そして,機会は積極的につくるものだ.

ちょうど1年前に同じ著者が書いた新書:笹原宏之『日本の漢字』(2006年1月20日刊行, 岩波書店岩波新書(新赤版)991], ISBN:4004309913書評版元ページ)の中で,本書の出版が予告されていたことを思い出した.

—— それにしても,中学生の頃から『諸橋大漢和』を読み耽ったという著者はタダモノではない.スゴすぎ.まねしたいな.

【目次】


序章 研究の目的と方針
 1. 国字研究の意義
 2. 本書の構成
 3. 表記の方針

第1部 国字とは何か(→第1部詳細目次

第1章 国字の定義と分類
 第1節 国字の定義とその周辺
 第2節 国字の研究史上の問題
 第3節 国字と漢字との境界
 第4節 国字と異体字との関係
第2章 国字の発生
 第1節 国字発生の前史
 第2節 国字の発生
第3章 国字の使用範囲による分類
 第1節 国字の使用範囲
 第2節 国字の分類

第2部 国字の位相(→第2部詳細目次

第4章 個人文字
 第1節 個人文字の位置と諸相
 第2節 安藤昌益の個人文字
第5章 地域文字
 第1節 地域文字の位置と諸相
 第2節 地名における漢字と国字
 第3節 字体、用法から見た地域文字
 第4節 表記から見た地域文字
第6章 位相文字
 第1節 位相文字の位置と諸相
 第2節 諸分野における位相文字の性格と実態
 第3節 コンピュータの位相文字

第3部 国字の展開(→第3部詳細目次

第7章 個人文字から位相文字へ・位相文字から一般的な国字へ
 第1節 個人文字から位相文字・一般的な国字へ
 第2節 位相文字から一般的な国字へ
 第3節 一般的な国字から位相文字・死字へ
第8章 コンピュータにかかわる展開
 第1節 地域文字等の位相文字化
 第2節 典拠不詳字等の位相文字化
終章 国字研究の展望


初出一覧
主要文献
後記
索引