日本土壌動物学会(編)
(2007年5月20日刊行, 東海大学出版会, ISBN:9784486017554 → 版元ページ)
学会として1冊の本をつくるというのは,完成までの調整やら進行の舵取りがたいへんだと思う.本書は,日本土壌動物学会の創設30周年記念出版として分担執筆で書かれた本だ.章立て構成を見ると,土壌動物の採集から始まって(第1〜2部),実験計画の立て方(第3部),そして形態測定学や分子系統学を含む生物多様性の解析までの調査研究の手順が解説されている(第4〜5部).さらに,土壌動物と環境問題の関わりについて触れ(第6部),最後にこれからの研究を進めるためのガイダンスが示されている(第7部).土壌動物学のこれまでの歴史とともに,今後の展望を読者に示そうという意図で編まれたのだろう.
【目次】
まえがき(渡辺弘之) xiii第1部 土壌動物学へようこそ 1
1章 土壌動物とは (福山研二・長谷川元洋) 3
2章 土壌動物の顔ぶれ (布村 昇・鶴崎展巨) 9
3章 土壌動物の研究史 (武田博清) 25第2部 採集と同定 29
4章 土壌動物採集・固定法 (伊藤雅道・永野昌博・須島充昭・島野智之・長谷川元洋) 31
5章 分類学研究法 (島野智之・布村 昇) 43
コラム01 同定依頼の方法 (島野智之) 59
6章 個体群生態研究法 (武田博清) 61
7章 標本撮影法 (島野智之) 73
8章 土壌環境調査法 (金子信博) 81第3部 野外実験と分析 89
9章 土壌動物の機能研究法 (金子信博) 91
10章 土壌動物の操作実験 (金田 哲) 101
11章 安定同位体と放射性同位体を用いた解析法 (陀安一郎) 105
12章 生産生態学調査法 (斉藤 晋) 109
コラム02 国際生物学事業計画(IBP)における土壌動物研究 (渡辺弘之) 117
13章 土壌動物の化学生態 (桑原保正) 119第4部 多様性の解析 125
14章 土壌動物の分布・地理変異・生物地理の研究法 (鶴崎展巨) 127
15章 形態解析 (田辺 力) 133
16章 分子系統情報の活用 (田辺 力) 139
17章 土壌動物の染色体研究法 (鶴崎展巨) 143
18章 土壌動物群集の多様性に関する研究法 (長谷川元洋) 151
19章 土壌動物研究における生物多様性データベース (一澤 圭) 165
コラム03 東アジア-北米東部隔離分布を示す土壌性ザトウムシ (鶴崎展巨) 171第5部 土壌動物研究の実際 173
20章 アリの生態研究:コロニー採集と飼育方法 (伊藤文紀) 175
21章 キシャヤスデの生態研究:周期発生の影響の検出 (豊田 鮎・橋本みのり) 181
22章 ミミズの生態研究法 (内田智子) 189
23章 樹上の土壌動物群集研究法 (唐沢重考・吉田智弘) 193
24章 湿原の土壌動物研究法 (栗城源一) 201
25章 農地の土壌動物研究法 (藤田正雄) 207
コラム04 食べられる土壌動物 (渡辺弘之) 210第6部 環境問題と土壌動物 211
26章 指標生物としての土壌動物 (原田 洋) 213
27章 毒性学と土壌動物 (長谷川真紀子・神谷貴文) 217
28章 土壌動物の外来種 (布村 昇・頭山昌郁・高桑正樹) 223第7部 土壌動物学を学ぶ人へ 229
29章 学校でできる「土壌動物かんたん実験観察法」 (平内好子) 231
30章 土壌動物と博物館 (布村 昇) 239
31章 土壌動物の研究者をめざす若い人に (布村 昇・長谷川元洋) 241
引用文献 245
群集解析で用いられるコンピューターソフトとホームページ 254
あとがき 255
索引 256