『黄金郷(エルドラド)伝説:スペインとイギリスの探険帝国主義』

山田篤美

(2008年9月25日刊行,中央公論新社中公新書1964],x+282 pp.,本体価格940円,ISBN:9784121019646版元ページ

南米ギアナ高地をめぐる伝説と歴史をたどる,こういう内容の新書が読めるのは幸福かもしれない.南米にあるとされた「エルドラド」の伝説は,コロンブスアメリカを発見した15世紀以後,かたちを変えながら連綿と伝えられてきた.この本には,エルドラド伝説と後世の列強による“探検帝国主義”が織り成す歴史のタペストリーに,数多くの歴史的人物とできごとが登場している.ギアナ高地とかロライマ山と聞けば,反射的に鳥類学者 W. H. Hudson の作品である『緑の館』を連想してしまう.あの岩波文庫本もこのタペストリーの中に織り込まれることになるのだろうか.