『ワセダ速記・簡字字典』

檜垣喬(編)

(1971年6月30日刊行,川口学園,東京,196 pp., 非売品)

先日,京都の実家に帰った折,昔のワタクシの本棚から発掘した字典.散逸しないうちに身柄を確保した.小学校のときからワセダ速記の通信教育を受けていて,小学校の6年で速習課程を修了し,中学に入ってから専門課程に進んだ.速習課程では速記法のもっとも“規則的”なところを勉強したが,専門課程に入ると,速記をより高速化するためのケースバイケースの「わざ」を詰め込まれる.各種の省略法や略記法がその中心となる.この『簡字字典』は専門課程で学ぶさまざまな略記法(「簡字」)をまとめた字典で,ワセダ速記の本部から通信販売で入手したはずだ.巻末にワセダ速記特有の省略法や略記法のまとめが載っている.現在では速記法そのものが endangered culture となっていて,こういう字典が今後出版されることはきっとないだろう.速記と反訳に明け暮れた小中学校時代はもう遠くなってしまった.ずいぶん前に読んだ「速記小説」:秦建日子SOKKI!:人生には役に立たない特技』(2006年4月6日刊行,講談社ISBN:9784062134125 [ハードカバー] / ISBN:9784062763646 [講談社文庫] → 書評)は個人的にはとても愛着のある本だ(一般受けしたかどうかは知らないが).