『西夏文字:その解読のプロセス』

西田龍雄
(1967年3月31日刊行,紀伊國屋書店紀伊國屋新書・A-30],東京, 209 pp., 定価300円)

ワタクシが「西夏文字」を初めて見たのは,高校入学後に買った本書がきっかけだった.西夏文字をめぐる伊藤悠の連載漫画『シュトヘル(1〜14巻完結)』が読まれ,昨年からはユニコード西夏文字(Tangut script)をコンピューター入力することさえできるようになったいまから見れば,ワタクシが半世紀前にたまたま西夏文字と出会ったのは偶然だったにちがいない.どうしてこんな本を買う気になったのか,今となってはまったく記憶がさだかではないが,当時はワセダ速記専門課程を通信教育で勉強していたので,文字体系というものに関心があったのかもしれない.西夏文字の活字印刷はきっとたいへんな作業だっただろう.本書のもとになった専門書:西田龍雄西夏語の研究:西夏語の再構成と西夏文字の解読(上・下)』(1964〜66年刊行,座右宝刊行会)は残念なことにいまだに手にする機会がない.

【目次】
I. 解読の一般原理 5
II. 西夏の文化とその研究 19
III. 西夏語とはどんな言葉か 59
IV. 西夏文字の構造 119
V. 文字のもつ意味の解読 159
あとがき 207