『THE BOOK OF TREES ― 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』コンパニオン・サイト開設

マニュエル・リマ[三中信宏訳]

(2015年3月19日刊行,ビー・エヌ・エヌ新社, 東京, 215 pp., 本体価格3,800円, ISBN:9784861009563 [hbk] → 版元ページ

とりあえず,コンパニオン・サイトを開設した.「口上書」はこんな感じ:

本書は,知識の体系化にとって樹形図は不可欠であるという観点から,古今の樹形ダイアグラムを総覧した他にほとんど類のない本である.著者マニュエル・リマはデジタル・デザイナーとしての経歴と関心を最大限に発揮して,最先端のコンピューター科学における情報視覚化のさまざまな技法とそれが目指す目標が古代末期から中世初期にまでさかのぼれる深いルーツをもつことを数多くの美麗な図版とともに示す.



2012年に翻訳出版されたリマの前著『ビジュアル・コンプレキシティ:情報パターンのマッピング』は,日々増大し続けている「情報」をいかにして “見る” かに焦点を当て,数々のカラフルでみごとな図版を通してデータ可視化と情報視覚化の最前線を論じた.データ解析の立場から言えば,統計計算やモデリングの前に,生の情報をきちんと “見る” ための統計グラフィックスをうまく利用することが肝要である.リマは,最先端のコンピューター・グラフィックスの多くの技法を紹介しながら,大量かつ複雑な情報の可視化という,いまもっとも注目されている分野に読者をいざなった.



そして,今回,縁あって私が翻訳を担当することになった本書『THE BOOK OF TREES ― 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』は,前著では十分に踏み込めなかった歴史的なルーツとその知的系譜を中心として編まれている.中世の初期から現代にいたる800年もの年月の間に,われわれ人間はさまざまな可視化のための表示ツールを繰り返し発明してきた.その代表が本書の主役である「樹形ダイアグラム」である.リマは,21世紀のいま,インフォグラフィックスの興隆とともにふたたび熱い視線を浴びている情報可視化ツールとしての樹形ダイアグラムの長い歴史をたどり,さまざまなタイプの樹形ダイアグラムのカテゴリー分類を通して,人間が情報を “見る” ための普遍的な共通要素はどこにあるかを探り出そうとしている.



一千年をまたいで生き続ける樹形図の世界は,確かにリマが言うとおり「知識の大いなる樹」にほかならない.視覚的動物であるヒトは今も昔も獲得した知識を自分の目を頼りにして体系化してきた.本書を手にされる読者のみなさんはさまざまな形をした「知識の樹」が鬱蒼と生い茂る密林の奥深くに分け入っていただきたい.

今のところコンテンツはあまりないが,書評記事の収集や正誤対応表の公開などの情報をそのつど付け足していくことにしよう.