三中信宏
(2017年刊行予定[もうすぐ],春秋社,東京)
【目次 ― 最終案(2017年2月13日)】
プロローグ:思考の体系化は「可視化」から始まる
1. 天気図記号:複数の情報を束ねるダイアグラムの基本機能
2. イデオグラフとメトログリフ:ダイアグラムの試行錯誤
3. チャーノフの顔:ダイアグラムの視認性を改良する第1章 ダイアグラム博物館 ― 思考の体系化の歴史をたどる
1.1 画家ギヨーム・ヴルランが描いた家系図(15世紀ベルギー,ブルージュ)
1.2 作家ジョバンニ・ボッカチオが描いた神々の系図(14世紀イタリア,フィレンツェ)
1.3 修道士ランベールが描いた善悪の樹(12世紀フランス,サン=トメール)
1.4 法学者ジャック・キュジャスによる最古の系図表(9世紀フランス,トゥールーズ)
1.5 神学者フィオーレのヨアキムが描く歴史の樹(12世紀イタリア・フィオーレ)
1.6 画家ピエール・カタッチが描くメディチ家の系図(16世紀イタリア,フィレンツェ)
1.7 進化学者エルンスト・ヘッケルが描く生物の系統樹(19世紀ドイツ,イェナ)
1.8 進化学者エルンスト・ヘッケルが描く人類の進化地図(19世紀ドイツ,イェナ)
1.9 神学者ライムンドゥス・ルルスの知識の樹(13世紀スペイン,マヨルカ島)
1.10 百科全書派クレティエン・ロートが描いた知識の樹(18世紀フランス,パリ)
1.11 比較宗教学者ジェイムズ・フォーロングの世界宗教系譜(19世紀イギリス,ロンドン)第2章 知識の樹の体系 ― チェイン,ツリー,ネットワーク
2.1 関係の構造を可視化する:順序関係と順序集合
2.2 チェイン:全順序の一本鎖
2.3 ツリー:半順序の樹形構造
2.4 ネットワーク:非階層の網状構造インテルメッツォ(1) ― 「分ける」と「つなぐ」
1. ウィリアム・ヒューウェルの視点から
2. 分ける分類科学,つなぐ古因科学
3. 科学の分類と科学の営為第3章 分類思考と系統樹思考(1) ― 記憶術としてのカテゴリー化
3.1 分ける思考とつなぐ思考
3.2 類似性のメタファーと隣接性のメトニミー
3.3 分類の直感と論理 ― 数量分類学のクラスター分析を例として
3.3.1 数値と分類 ― 統計学と分類学が接するとき
3.3.2 クラスタリングの背後にある分類観
3.3.3 全体的類似度とクラスタリング:いくつかの計算例
3.3.4 負けて勝つ ― 分類思考の方法としての数量分類学第4章 分類思考と系統樹思考(2) ― 分類から系統へ
4.1 距離尺度の計量性条件
4.2 樹形図による距離情報の頂点表現と経路表現
4.3 樹形性定理 ― 三角不等式のチューニング
4.3.1 グロモフ積 ― 端点から内点をさぐる
4.3.2 超計量性と相加性 ― 樹形図が描ける条件とは
4.4 X樹 ― 樹形ダイアグラム論の基礎第5章 分類思考と系統樹思考(3) ― 系統の断面としての分類
5.1 植物分類学者チャールズ・ベッシーの系統分類体系図(1894-1915)
5.2 動物比較形態学者アドルフ・ネフの観念論系統樹(1919-1933)
5.3 植物系統学者ヘルマン・ラムの系統学的ダイアグラム体系(1936)
5.4 動的分類学者早田文蔵の高次元ネットワーク(1921-1933)
5.5 動物行動学者コンラート・ローレンツの種間比較系統樹(1941)
5.6 まとめ ― 分類と系統の次元のきしみインテルメッツォ(2) ― 見えないものを見る
1. 分類するはヒトの常 ― ブレント・バーリンの民俗分類学の視点
2. 部分から全体を構築する ― ヴィリ・ヘニックによる一般参照体系の復元
3. 骨組みと肉付け ― 集合論とメレオロジーの対立をめぐって第6章 ダイアグラム思考 ― 既知から未知への架け橋として
6.1 集合から個物へ ― ネルソン・グッドマンによる類似性批判と個体公理論
6.2 メトニミーとアブダクション ― 痕跡解読型パラダイムの進化的起源
6.3 ダイアグラム論から見た統計グラフィクスエピローグ:思考・体系・ダイアグラム ― 科学と人生と時代のはざまで
1. 図像というパラテクストの威力
2. 能力としてのヴィジュアル・リテラシー
3. ダイアグラム論 ― 科学と芸術の交わりのなかで
あとがきにかえて ― 先駆者たちの足跡をたどる旅路
文献リスト
図版クレジット
索引