『ナボコフ・コレクション —— 賜物/父の蝶』

ウラジーミル・ナボコフ沼野充義・小西昌隆訳]
(2019年7月25日刊行,新潮社[ナボコフ・コレクション],東京, 635+ii pp., 本体価格5,700円, ISBN:9784105056094版元ページ

前半は沼野充義訳の長編〈賜物[Дар]〉(pp. 7-559),後半は小西昌隆訳の短編〈父の蝶[Отцовскиe бабочки]〉(pp. 561-609)で初の日本語訳とのこと.ワタクシ的には〈父の蝶〉にとても強く惹かれる.作家ウラジーミル・ナボコフは,けっして “在野研究者” ではなく,ハーバード大学比較動物学博物館とコーネル大学でキュレーターを務めたプロの昆虫学者としてのキャリアをもつ.この短編小説にはチョウの自然分類と種概念に関する言及もあり,読む人が読めばきっとおもしろいにちがいない.読者を選ぶ文章.