楠見清
(2023年6月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・く-34-1],東京, 206 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-480-43898-0 → 版元ページ)
【目次】
第1章 定義:無言板とは何か
役に立たない 9もの言わぬ看板 11
レディメイドの禅 14
無言板の類型と特徴 16
ホワイトボード型 17
純粋看板 17
ペインティング型 20
わびさび型 20
ラッピング型 21
穴埋め問題型 21
枯れ文字型 24
シルエット型 24
残像型 24
異次元型 25
第2章 鑑賞術:気がつけば街角は美術展
1. コンセプチュアルアート――言うことなしの芸術 26
モジナシ――街角にじっと佇む「無意味の物理モデル」 26ああ無情報板――失われたインフォーメーションの残響 29
エア看板――空(そら)に空(くう)を掲げるという禅問答 32
代役フレーム――失われた主の代わりに何を語るのか 36
孤立無援仏――道端にひっそりと佇む謎の彫刻 41
2. アノニマスアート――作り人知らずの芸術 45
野良絵――ワイルドでタフな前衛絵画たち 45独立無言板――街角アンデパンダン展 49
地図絵――ここはどこでもないどこか 54
禁断のシルエット――禁じられた行為が浮かび上がる 57
どうぶつの無言板――ペットから珍獣まで集まれ 61
糊跡芸術――接着剤で描かれたストリートアート 64
テープ絵画――テープ跡が織りなす幾何学的抽象 68
ストリートテーピング術――文字を書いたり消したり 72
3. ミニマルアート――最少限であることの美学 78
空っぽ水槽――消えた言葉の魚たち 78空色看板――空の色に似ている 84
緑色看板――目にやさしく心にもやさしい 88
背面無言板――背中で何も語らず 92
ロードサイド・モノリス――202X年路傍の旅 96
〈無〉確認発行物体――無字との遭遇 101
4. ファウンドオブジェ――見立てのカ 105
わびさび看板――錆びてこそ寂びの美り 105梱包看板――ブルーシートに包まれて 108
蛇口看板――水も出ないし言葉も出ない 112
モノポケ無言板――見立ての芸術は詩であり笑いでもあり 115
どこでもないドア――扉の向こうは異次元? 120
脱落看板――傾いても筋を通し、落下しても落ちぶれない 124
名コンビ――並んだ姿がいい感じ 128
顔パレイドリア――笑う顔には福来る 132
5. コンクリート・ポエム――ストリートの詩篇 136
穴埋め看板――街角のクイズマスターからの出題です 136上の句看板――消えた赤文字と残された黒文字 141
枯れ文字――劣化した難読文字も山の賑わい 145
過言板――落書きに埋もれて何言ってるかわからない 149
サイレント花言葉――花に託された言葉を映して 156
6. 都市のポートレート――現代を生きる私たちの分身 161
ストライクゾーン看板――いくつになっても気分は野球少年 161割れ看板――破壊によって創造するパンクなアート理論 165
カメレオン看板――文字とともに気配まで消す 168
案山子看板――都会に残された一本足のお化け 172
電柱無言板――地中化の波にいつか消えゆく 176
スリム無言板――文字が消えても黄色いだけで多くを語る 180
近代化無言遺産――歴史は語らず、ただそこにあるのみ 185
高所無言板――上を向いてまちを歩こう 190
第3章 考察:無と消費をめぐる文化史
無のキャンペーン 197ナンセンスの森 200
無為に多忙 202
何もしないという戦術 205