『A Narrow Bridge[一本の細い橋]:美術でひもとくオランダと日本の交流史』

ヤン・デ・ホント,メンノ・フィツキ[松野明久・菅原由美訳]
(2020年3月31日刊行,大阪大学出版会,大阪, 253 pp., 本体価格6,000円, ISBN:978-4-87259-701-1版元ページ

日蘭交流本をなぜ阪大出版会が?と思ったら,「大阪大学適塾記念センター」が出したんだ.適塾!ナットクです.

『大食軒酩酊の食文化[第1集]』

石毛直道
(2020年6月27日刊行,教育評論社,東京, 143 pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-86624-028-2版元ページ

読書委員会で「ミナカさん,はいっ」と手渡された.これくらいえらいセンセイになると呑んでも食べてもちゃんと本になる.「第1集」ということは続巻が出るということね.

『陸上植物の形態と進化』目次

長谷部光泰
(2020年7月1日刊行,裳華房,東京, 44 color plates + x + 248 pp., 本体価格4,000円, ISBN:978-4-7853-5871-6版元ページ

とってもカラフルな植物進化学最新刊.はい,もちろん大評決定です.読みます読みます.


【目次】
カラー口絵 (44 pp.)
はじめに iii
1.植物と陸上植物の定義 1
2.膈膜形成体植物 8
3.陸上植物の多様性:ヒメツリガネゴケシロイヌナズナの比較 24
4.陸上植物の系統と共通祖先の形態 66
5.膈膜形成体緑藻類から陸上植物への進化 77
6.コケ植物の進化 103
7.維管束植物の進化 112
8.小葉植物への進化 124
9.シダ植物と木質植物の共通祖先の進化 143
10.シダ植物 153
11.木質植物 174
12.前裸子植物 177
13.シダ種子類 181
14.現生種子植物の共通祖先 194
15.現生裸子植物への進化 199
16.被子植物の進化 213
あとがき 230
引用文献 232
索引 241

『〈美しい本〉の文化誌:装幀百十年の系譜』読売新聞書評

臼田捷治
(2020年4月17日刊行,Book&Design,東京, 16 color plates + 318 pp., 本体価格3,000円, ISBN:978-4-909718-03-7目次版元ページ

読売新聞大評が公開された:三中信宏紙の本に秘められた力 —— <美しい本>の文化誌 臼田捷治著」(2020年7月5日掲載|2020年7月13日公開).



紙の本に秘められた力

 よい装幀は“紙の本”に秘められたかぎりない可能性を解き放つ。数年前、神田錦町にある竹尾見本帖本店で〈系統樹の森〉展と銘打ったイベントを開催したことがある。グラフィックデザイナー杉浦康平氏の監修のもとで実現したこの展示で、アートディレクションの威力とともに、紙のもつ将来性と最先端の印刷技術に評者は目を見張った。

 本書には、明治から現代にいたる一世紀半に日本で出版された〈美しい紙の本〉が計350冊もリストアップされている。物理的存在である“モノ”としての“紙の本”は、単にテキストのもつ文字情報を伝えるだけではない。本体・表紙・カバージャケットに使われる紙の種類、印刷される文字書体のタイポグラフィー、配置される挿画などの多くの装幀要素がひとまとまりの“作品”をつくりあげる。

 これらの“紙の本”の装幀は誰が手がけたのだろうか? 本書は時代ごとの装幀スタイルの変遷を追い、著者本人・担当編集者・画家・詩人・デザイナーらさまざまな装幀家が本造りの理念と実践に大きな役割を果たしてきたことを明らかにする。かつての活版印刷から現在のDTPへとうねる大きな流れのなかで、そして新興の“電子本”とのせめぎあいのなかで、“紙の本”を支えてきた日本の造本文化の伝統は今なお連綿と受け継がれ、未来への道が拓かれていることを知る。

 現在では“紙の本”だけでなく“電子本”も私たちの日々の生活に深く馴染んでいる。しかし、両者を同じ「本」と呼ぶのはおそらくまちがいなのだろう。きちんと造られた“紙の本”を手にするときの満ち足りた幸福感は何物にも代えがたい。そういう本はまかりまちがっても“自炊”したりはしない。本を電子化することの“副作用”には敏感でありたい。

 最後に、本書そのものが〈美しい本〉の一冊だ。装幀はもちろん、カバージャケットの“箔押し”も美麗だ。眼福ここに極まれり。

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2020年7月5日掲載|2020年7月13日公開)


『世界哲学史5 —— 中世III:バロックの哲学』

伊藤邦武・山内志朗中島隆博納富信留(編)
(2020年5月10日刊行,筑摩書房ちくま新書・1464],東京, 307 + xxvii pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-480-07295-5版元ページ

この叢書はみだりに近寄るとライプニッツやスカリゲルに噛まれそうで,遠巻きに見ていたら,ご恵贈いただきました.この機会に全8巻揃えます.

『日本のお弁当文化:知恵と美意識の小宇宙』目次

権代美重子
(2020年4月20日刊行,法政大学出版局,東京, 252 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-588-30052-3版元ページ


【目次】
はじめに 3

序章 世界が注目する日本のお弁当文化 13

1 海外のBENTO人気 14
2 手作り弁当のひろがり 22
3 「お弁当」と日本の食文化の特徴 29

第1章 「働く力」とお弁当 33

1 里の民のお弁当 33
2 山の民のお弁当 39
3 海の民のお弁当 47
4 「お弁当箱」の用と美 51
5 戦う人々の携行食 55
6 「腰弁当」──泰平の世のお弁当 62
7 戦後復興の力──「ニコヨン」と「ドカ弁」 66

第2章 花見弁当 季節や自然を楽しむお弁当 69

1 サクラ神事と「花見」 69
2 平安貴族の観桜の宴 71
3 秀吉の「吉野の花見」 74
4 江戸の庶民の年中行事としての「花見」 76
5 花見弁当 79
6 花見のお弁当箱 86
7 世相を映す「師匠の花見」──弁当二千人前・弁当長持十五棹 91
8 季節と自然はお弁当を楽しむための舞台装置 99

第3章 観劇弁当  芝居と一体化して楽しむお弁当 103

1 庶民の大娯楽「歌舞伎」 103
2 「宮地芝居」の継承──「大鹿歌舞伎」と「ろくべん」 106
3 江戸の芝居見物──一日がかりの大娯楽 109
4 芝居茶屋の食事──『宴遊日記別録』 から 113
5 食べながらの芝居見物 117
6 「かべす」の楽しみ 119
7 歌舞伎の変身──大衆演劇から芸術へ 127

第4章 駅弁  旅情を楽しむお弁当 131

1 フランス、パリ・リヨン駅の駅弁テスト販売 131
2 駅弁の魅力──「掛紙」 134
3 「駅弁」お弁当箱の魅力 139
4 駅弁の「盛り付け」の魅力 144
5 駅弁の歴史 147
6 駅弁販売法今昔 158

第5章 松花堂  おもてなしのお弁当 165

1 「松花堂」の誕生 165
2 「松花堂」の工夫 166
3 「松花堂」と茶道 169
4 「松花堂」と「懐石」 174
5 「松花堂」考案者、湯木貞一 177

第6章 食の思想とお弁当 183

1 神への畏敬と感謝から 183
2 命への畏敬──「包丁式」 190
3 「食法一体」──食と生き方を重ねる 195
4 『赴粥飯法』──受食の作法 200
5 食の思想の浸透 206

第7章 社会の変化とお弁当 211

1 お弁当の社会的役割 211
2 ライフスタイルの変化と価値観の多様化 216
3 ICTとお弁当 226
4 「手作り弁当」の趣味化 232


おわりに 239
参考文献資料 242
あとがき 249