ウリカ・セーゲルストローレ
(2005年2月23日刊行,みすず書房,ISBN:4622071312 / ISBN:4622071320)
本のタイトルが近刊リストで予告されたものとは微妙にちがっていた.タイトルとサブタイトルが逆でした.
※本書はまだリアル書店にもオンライン書店にも入荷していないようですね.書誌情報についてはとりあえずぼくのサイトをごらん下さい.[18 February 2005]
◆上巻目次◆
はじめに vii
1 真理をめぐる闘いとしての社会生物学論争
科学的真理と道徳的真理は同じものか 1
学問的な工作としての社会生物学論争 6
オペラに見立てた社会生物学論争 10
第一部 社会生物学論争で何があったのか
2 社会生物学をめぐる嵐
創り出された社会生物学論争 19
まじめな科学的批判の欠落 23
社会生物学研究グループの活動 29
社会生物学論争は回避できたか 38
「環境主義」パラダイムの優越 49
3 衝突に突き進む同僚:ウィルソンとルウォンティンの正反対の道徳的かつ科学的課題[アジェンダ]
大物どうしの激突 57
ウィルソンの建設的プログラム 59
ルウォンティンの批判的な課題 66
嗜好の問題 80
4 英国派とのつながり
群淘汰から血縁淘汰へ−−集団的改宗か科学的雪崩現象か 87
ビル・ハミルトン−−孤独の人 94
メイナード・スミスと逸した機会 101
ジョージ・プライス−−原理主義[ファンダメンタリズム]を奉じた科学者 108
コップの中の嵐か−−ドーキンスと英国における論争 117
5 社会生物学の秘められた背景
ハーヴァード大学によるハミルトンの発見−−トリヴァースとデヴォア 134
相互扶助論 144
〈人間と行動〉会議−−触媒的な出来事 154
ウィルソン流の社会生物学−−ある目的のための総合 162
名前に何かあったのか−−「社会生物学」がはらむ意味 167
6 適応主義への猛攻:遅ればせの科学的批判
適応主義のどこがまちがっているのか 172
完璧な人間などいない 179
サンマルコのスパンドレル−−ロイヤル・ソサエティをうろたえさせたグールドとルウォンティン 184
スパンドレルへの反応 193
もと適応主義者の懺悔 200
トロイの木馬としての社会生物学論争 203
断続主義に断点を入れる 210
7 淘汰の単位と,文化との関連
淘汰の単位をめぐる論争における真と誤り 218
ハーヴァードの全体論と英国のお手玉遺伝学 230
淘汰のレヴェル−−存在論的異議申し立て 236
文化の問題 244
ハミルトンの「人種差別的」論文 253
遺伝子は必要か 259
8 批判に適応する社会生物学:『遺伝子・心・文化』
社会生物学は自らをつくり変える−−それとも? 269
メイナード・スミス数式をチェックする 278
ルウォンティン屈辱を感じる 282
エドマンド・リーチはエソロジーがお好き 292
9 道徳的/政治的対立は続く
新しい潮流の台頭 305
「人種差別主義者」という誹謗と反論 308
ナビのエピソード−−科学におけるマナーとモラル 318
批判者たちは建設的プログラムを考案する 325
もうたくさんだ!と社会生物学者たちは言う 329
誰がまちがったのか 334
原注 341
用語解説 [1-9]
◆下巻目次◆
第二部 社会生物学論争を読み解く
10 批判者たちの心のうち
連結した論理と確かさの追求 355
チョムスキーの異議申し立て 363
「プラトンの高貴な嘘」−−批判者の論法を解く手がかり 368
真実は露見する−−道徳的解釈を通してのテクスト操作 371
彼はそう言ったんだ!−−言葉の力 376
11 科学の庭園における攻防
社会のなかの科学をめぐる伝統的な見方と批判的な見方 381
何をなすべきか−−科学者の責任 390
事実への怖れ 393
科学の道徳性 396
行動遺伝学をめぐる闘い 400
米国学界のネオルイセンコ主義? 404
12 社会生物学論争の中のハムレットたち
感謝されない連結切り離し屋−−ピーター・メダワー 415
両陣営に片足ずつ−−メイナード・スミスとベイトソンの調停努力 425
論争に参加しなかった左翼の声−−サルヴァドール・ルリア 433
13 伝統の衝突
気心を通じ合うナチュラリストと批判的な実験主義者 448
テクストと真実 463
二分された学界と二つの真理の世界 472
14 科学の本性についての対立する見方
「真の因果関係」対モデルと計画 481
「正しい」知能研究の正当性 488
「不自然な科学」としての社会生物学とIQ研究 491
全体論,還元主義,マルクス主義 497
定義ゲームとしての還元主義,目くそを笑う鼻くそ 503
ウィルソンがワトソンでなかった理由 509
15 論争につけこむ
象徴的資本としての道徳的認知 515
社会生物学論争における「争点」をめぐっての闘い 523
最適化戦略家としての科学者 526
第三部 科学をめぐる闘いの文化的な意味
16 社会生物学者とその敵:二五年後の棚卸し
進化的パラダイムの台頭 535
変わりゆく環境のなかで進化するウィルソン 538
社会生物学論争における道徳的な勝者 541
ウィルソン流の社会生物学−−一つの評価 546
人間社会生物学との折り合い 551
狙いをはずした打ち合い−−グールドとドーキンスの長々しいデュエット 557
現代総合説の擁護者たち−−進化はなぜ,どのようにして起こるか 566
行動の統合された研究に向けて 576
17 論争による真実:社会生物学論争とサイエンス・ウォーズ
「反科学」に戦いを挑む科学の擁護者たち 581
サイエンス・ウォーズの政治学 590
反社会生物学と反科学 594
批判の連続性と不連続性 598
18 啓蒙主義的探求の解釈
コンシリエンス−−新しいセントラル・ドグマ 607
コンシリエンスで覆い隠せる[コーシール]か−−社会科学と芸術 616
啓蒙主義とハイパー啓蒙主義の探求 623
汝自身を知れ−−長期的な啓蒙主義の目標 635
19 科学的真理と道徳的真理の緊張関係
進化生物学−−科学と価値のあいだ 647
生物学について真理を語る 656
真理とそれがもたらす結果 669
20 魂を賭けた闘い−−そして科学の命に懸けて
自由意志・決定論・罪着せ 677
新たな本質主義と新たな実存主義の出会い 686
神は必要なのか 691
科学を引き綱につなぎとめる−−情動と道徳的懸念の重要性 700
原注 709
訳者あとがき 721
参考文献 [9-50]
索引 [1-8]