『江戸の読書熱:自学する読者と書籍流通』

鈴木俊幸

(2007年2月22日刊行,平凡社平凡社選書227], ISBN:9784582842272



いつの時代も人がいれば本がある.江戸時代の本を論じた本はこれまであったが,当時の本屋と読者との関わりに言及した本は珍しいのではないか.江戸の本屋さんはとっても商売上手.




【目次】
はじめに —— 近世読者の成立 7

第1章 明日の見物 —— 新しい読者と蔦重・泉市 17

1. 理屈臭き黄表紙蔦屋重三郎 17
2. 『膝栗毛』の世紀 34
3. 往来物の流通網 —— 和泉屋市兵衛の戦略 44

第2章 地方の本屋さん —— 信州松本書肆高美屋甚左衛門を中心に 73

1. 書肆高美屋の創業 73
2. 松本の読者たちと書籍流通 79
3. 高美屋甚左衛門の事業展開 112
4. 信濃における本屋の叢生 125

第3章 『経典余師』というモデル 145

1. 四書ヲ平ガナニてざつと解申候 147
2. 数珠連なりのベストセラー 155
3. 「余師」の時代 177

第4章 自学の時代と書籍需要 185

1. 「経典余師」スタイルの背景 186
2. さまざまな「余師」たちと高井蘭山 —— 天保末まで 192
3. 初学者のためのしなじな —— 天保末以降 212
4. 草紙と書物,寺子屋と私塾 241


あとがき 245