『Sorting Things Out: Classification and Its Consequences』

Geoffrey C. Bowker and Susan Leigh Star

(1999年10月刊行,The MIT Press[Series: Inside Technology], Massachusetts, xii+377pp.,ISBN:0-262-02461-6 [hbk] / ISBN:0-262-52295-0 [pbk] → 目次

本書はいわゆる「生物分類」の本ではない.むしろ,構築された分類カテゴリーのもつ文化的な「倫理性」と社会的な「権力性」に視点が置かれているの点で関心を呼ぶ.Part 1 では.分類を支えるインフラすなわち社会学的基盤について論じられ.続く Part 2 では,分類の社会的インフラの例として,病気の分類システム(「ICD」すなわち「国際疾病分類システム」を例に取る)と,南アフリカ共和国におけるアパルトヘイト時代の人種分類を挙げ,その社会的影響についての論議がなされる.Part 3 では,医療看護の分類システムの検討を通して,分類行為の実践的価値が重要であることが指摘される.最後の Part 4 では,情報科学と社会科学との境界領域に分類学は活路を目指すべきであるという著者のメッセージが掲げられる.

本書は,私がよく引用する:「分類するは人の常(To classify is human)」という格言の出典である.残念なことに,著者のひとり Susan Leigh Star は今年3月に逝去していた:The MIT PressLog「In memoriam: Susan Leigh Star」(26 March 2010)